ステータス
2026年7月末時点で、フィージビリティスタディおよび概念実証(PoC)は完了している。現在、研究チームは数万点規模の在庫を扱う現代的な倉庫への適用を目指し、システムの大規模化に取り組んでいる。一方、営業チームは本技術に関心を示す潜在顧客との商談を進めている。
重点プログラム
倉庫の在庫配置の最適化
概要
量子コンピューティングを活用した最適化アルゴリズムを開発し、倉庫内の在庫配置を最適化することで、商品の取り出し効率を向上させるとともに、倉庫内におけるさまざまなリスクの低減を目指した。本プロジェクトは、National Quantum Computing Centre(NQCC)およびScience and Technology Facilities Council(STFC)がSparQプログラムのもとで支援する、量子コンピューティング応用探索の中核プロジェクトの一つとして実施された。
課題
倉庫運営では、「業務効率の向上」と「リスクの低減」という二つの課題がある。業務効率の向上には、倉庫内での移動距離を最小化するよう在 庫配置を最適化することが求められる。一方、リスク管理では、自然災害などの予測困難な事象による商品損傷に加え、作業中の労働災害など、安全・運用上のリスクも考慮する必要がある。
現在、在庫配置は担当者が手作業で決定するか、物流ソフトウェアの支援を受けて行われている。しかし、これらの手法は業務効率の面で必ずしも最適ではなく、リスクを十分に考慮した在庫配置を実現できていない。
アプローチ
これら二つの課題の解決を目的として、概念実証(PoC)を実施した。量子研究チームは、二値・整数組合せ最適化手法を用いて、量子アルゴリズム、古典アルゴリズム、および量子・古典ハイブリッドアルゴリズムを開発した。これらのアルゴリズムは、倉庫内で場所ごとに異なるリスクを業務効率の目的関数に組み込むことで、作業効率の向上とリスク低減の両立を実現する。
アルゴリズムは、実データをもとに生成した合成データセットを用いて、量子コンピュータおよび古典コンピュータ上で評価を行った。その結果、ランダムな在庫配置 と比較して、リスクによる期待損失と運用コストを合わせた総コストを50%以上削減できることを確認した。また、量子・古典ハイブリッドソルバーは、99%の評価ケースにおいて、最も高速に最良の解を導き出し、他のすべてのソルバーを上回る性能を示した。