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ステータス

現在、英国の自動車保険金支払部門と連携し、専任チームによる開発を進めている。初期リリースでは、保険金請求関連文書から人物・車両・事業者などのエンティティを抽出し、それらの関係性を可視化するエンティティグラフを構築する。システムが検出した不正ネットワーク候補については、保険金請求調査担当者(Claims Investigators)が評価・検証を行い、その結果を踏まえて次の開発フェーズを進める予定である。 

​重点プログラム

組織的な不正ネットワークの検知​

概要

組織的な保険金詐欺は、個々の請求案件だけを見ると通常の請求と見分けがつかないよう巧妙に設計されている。そのため、一件ごとの査定では不自然な点が見つからず、審査を通過してしまうことも少なくない。 

しかし、不正ネットワークには、複数の請求案件を横断して初めて見えてくる特徴がある。本来関係がないはずの案件で、同じ修理工場、電話番号、車両、目撃者などが繰り返し現れることが、その兆候となる。 

また、不正者自身が提出する供述書、請求書、各種証憑、やり取りの記録には、組織的なつながりを示す痕跡が残されている。しかし、これらの書類は通常、一件ごとにしか確認されず、複数案件を横断して分析されることはほとんどない。 

OXFIDAでは、こうした文書をAIが解析し、記載された人物、車両、修理工場・事業者などの関係性を複数案件にわたって自動的に関連付けるシステムを開発している。これにより、一件ごとの査定では見つけることのできない組織的な不正ネットワークを可視化し、早期発見につなげることを目指している。 

課題​

保険金不正請求の検知は、一件ごとの請求案件を対象としたAIモデルにより高い効果を上げており、当社英国の自動車保険事業では2021年から運用している。しかし、一件ずつ案件を評価するモデルでは、請求案件間の組織的なつながりを検知することはできない。なぜなら、その証拠は個々の請求案件の中ではなく、複数案件の関係性の中に存在するためである。 

また、一度不正ネットワークが特定されれば、確認済みの案件を起点として関連する請求案件をたどることは可能である。しかし、より困難なのは、まだ誰にも発見されていない未知の不正ネットワークを見つけ出すことである。AIモデルは、これまでに発覚した不正事例を学習して構築されるため、組織的な不正ネットワークは長年にわたり多数の請求を繰り返した後に初めて発覚するケースが多く、未知の不正を早期に捉えることは容易ではない。 

アプローチ

文書から氏名や企業名などを抽出し、それらの関連性を分析する技術自体は新しいものではなく、ルールベースのリンク分析は保険業界でも長年利用されてきた。しかし近年では、大規模言語モデル(LLM)の進展により、調査担当者が行うように供述書や調査報告書の内容を理解し、複数の文書を横断して意味的な関連性を把握できるようになった。さらに、グラフ学習(Graph Learning)技術を組み合わせることで、保険金請求全体における「通常のつながり」の構造を学習し、あらかじめ定義されたルールに依存することなく、不自然な関係性や異常なネットワーク構造を自動的に検出できる。 

本システムは、異なる表記で記載された同一人物や同一事業者を複数の請求案件にわたって識別・統合し、それらの人物、車両、事業者などの関係をグラフ構造として構築する。また、既知の不正パターンとの一致を探すのではなく、複数の情報源間の矛盾や、本来存在しないはずの関係性・ネットワーク構造に着目して分析を行うため、過去に発覚した不正事例だけに依存することなく、未知の組織的不正の発見にもつながる。 

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