動画
ステータス
本システムは2021年から本番環境で運用されており、保険金請求のトリアージおよび不正調査チームの日常業務で活用されている。保険金支払部門の責任者は、2026年8月時点で累積約260万ポンドのリターンが得られたと見込んでいる。さらに、2つの機能拡張の開発が完了しており、2026年中に本番導入を予定している。これにより、現在調査中の案件と類似する保険金請求を自動的に抽出するとともに、既知の不正グループ(シンジケート)に関連する他の請求案件をネットワークとして追跡・可視化できるようになる。
重点プログラム
自動車保険の不正請求スコアリング(英国)
概要
英国の自動車保険金支払部門では、OXFIDAが開発した機械学習システムを活用し、保険金請求案件のトリアージを実施している。システムは毎晩、その日に受け付けた請求案件をリスクスコアリングし、翌朝には担当者がキューの上位にある高リスク案件から対応を開始できるよう にしている。また、同じ処理の中で、前日に担当者が下した判断を用いてモデルを再学習する。本システムは2021年から毎日運用されており、保険金支払部門責任者によると、2026年8月時点で累積約260万ポンドのリターンを生み出している。
課題
2021年以前は、保険金請求案件の調査対象の選定は、あらかじめ定められたルールベースの判定基準に基づいて行われていた。こうしたルールベースの手法は、過去に確認された既知の不正手口には有効である一方、新たに出現する不正パターンへの対応には限界がある。また、新たなルールの追加には、不正被害の発生から数か月を要することもあり、その間に損害が拡大する可能性がある。さらに、不正者が判定基準を推測・分析することで、ルールをすり抜ける請求が行われるリスクもあった。
アプローチ
本システムは、過去の保険金請求データ、請求者の行動履歴、車両情報、外部データなどを学習し、査定担当者が日常的に利用するシステム上で案件ごとのリスクスコアを算出する。担当者はそのスコアを参考に、特別調査部門へ調査をエスカレーションすべき案件を判断する。
一方で、不正者は新たな手口を次々と生み出すため、ルールや仕様を書き換えるだけでは対応が追いつかない。そのため、本システムは担当者が日々行った判断結果を毎晩のバッチ処理で学習データとして取り込み、モデルを継続的に再学習する。担当者が記録したすべての判断が翌日のモデル改善に反映されることで、5年間の運用を通じて、当初に定義されたルールではなく、実際の調査判断から学習する仕組みを実現している。その結果、不正手口の変化に追従し続けることができ、固定的なルールベースシステムへ陥ることを防いでいる。