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ステータス

2026年7月30日時点で、本プロジェクトはフィージビリティスタディおよび概念実証(PoC)を完了しているが、本番環境で運用可能なシステムには至っていない。本検証では、現行のルールベース手法よりも高い精度でリスクを優先順位付けできることを確認した。一方で、損害額を推定するモデルについては、実運用に必要な十分な安定性にはまだ達しておらず、また、本研究で用いた前提条件についても業務部門との追加検証が必要である。 

今後は、データ管理部門や業務部門と連携し、より充実した保険金請求データを用いた詳細な検証を進めることで、本手法の業務価値を検証するとともに、本番環境への導入に向けてモデルの精度・安定性をさらに向上させる予定である。 

引受判断の迅速化

概要

保険会社が保有する過去の保険金請求データを学習し、商業用不動産保険の引受案件を将来の損害リスクに応じて優先順位付けするAIモデルを開発した。本モデルにより、高リスク案件を優先的に引受担当者へ提示できる。 

OXFIDAが実施したフィージビリティスタディでは、AIが最もリスクが高いと判定した上位20%の引受案件に、全保険金請求の33%が集中していることを確認した。これは、あいおいニッセイ同和損保が現在運用している手作業で維持管理されたルールベースの判定よりも高い識別性能を、物件ごとにわずか14項目の情報だけで実現した結果である。 

本モデルにより、リスクの低い案件はより迅速に承認し、高リスク案件には引受担当者が十分な時間をかけて判断できるようになることで、引受業務全体の効率化と品質向上を目指している。 

課題​

契約者が商業用不動産保険に建物や設備を追加する場合、営業担当者は膨大で複雑なルールに基づき、その場で承認するか、引受部門へ審査を依頼するかを判断している。しかし、このルールは維持管理の負担が大きいうえ、リスクの低い案件まで引受部門へ回されるケースが少なくない。 

その結果、本来詳細な審査を必要としない案件にも引受担当者の時間が費やされ、契約者への回答が遅れるとともに、高リスク案件へ十分なリソースを割くことが難しくなっている。 

アプローチ

本モデルは、引受案件ごとに「損害発生頻度」と「損害額」の2つを予測し、それらを組み合わせることで期待損害額を算出する。期待損害額があらかじめ設定した閾値を下回る案件は自動承認し、それ以外はリスクの高い順に引受担当者による審査へ振り分ける。 

本手法には、保険実務に適した二つの特徴がある。第一に、モデルには保険数理で広く用いられ、アクチュアリーや規制当局からも信頼されている一般化線形モデル(Generalised Linear Model:GLM)を採用しているため、AIの判断根拠を説明できる高い透明性を備えている。

第二に、保険会社が保険金請求データを保険契約単位で管理している場合でも、建物単位のリスクを推定できる点である。これにより、新たなデータ収集を行うことなく、既存のデータを活用して建物ごとのリスク評価を実現できる。 

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